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●都筑道夫氏推薦――「この本をもっと若いうちに読んでいれば、結婚なんかしなかったのに。」
エミール七十三歳、マルグリット七十一歳。再婚同士だった二人が式を挙げて八年、会話が途絶えてから四年になる。相手の存在を痛いほど意識しながら互いに無視しあい、一つ屋根の下で際限のないゲームに飽かず興じる。理解しがたいようでいて妙に頷ける夫婦の執念。屈折した愛と呼べなくもない二人の駆け引きは、飼い猫の死に始まった。訳者あとがき=三輪秀彦
ジョルジュ・シムノン
1903年、ベルギーのリエージュ生まれ。16歳で新聞記者となり、17歳で小説を執筆。22年にパリに移り住み、20以上の筆名を使い分け、大衆小説を次々に発表。31年の『怪盗レトン』がメグレ初登場作品とされている(端役として顔を出す作品は、それ以前もあった)。100を超えるメグレ警部(後に警視)ものだけではなく、犯罪心理小説ともいうべき作品群で世界中の読者を魅了した。45年にアメリカに移住、10年ほど後、フランスに帰国。その後57年に、スイスに移り住む。72年に、小説執筆からの引退を決めた。89年、ローザンヌで逝去。