その内面描写を排した文体で、ハードボイルドの父とも呼ばれるハメットの代表作。
●堂場瞬一氏推薦――「この作品にはかなわない。すべての基本にして完成形である。」
●藤田宣永氏推薦――「私立探偵小説の原点。男そのものだけではなく、男の、女に対する態度も面白く読めます。」
私立探偵サム・スペイドがその事件を手がけるや、たちまち2件の殺しが発生した。発端となった謎の女、そのあとを追って地中海から来た男、ギャング一味の暗躍……その昔マルタ島騎士団がスペイン皇帝に献上した純金の鷹の像をめぐる血みどろの争奪戦。「推理小説の歴史を通じて最高の地位を要求できる傑作」と評される不朽の名編である。
ダシール・ハメット
アメリカの作家。1894年生、1961年歿。種々雑多な職業を転々とし、最後にアメリカ随一の民間探偵ピンカートン社の私立探偵となった。このときの体験をもとにしたのが処女長編『血の収穫』である。これによってハードボイルド文学を確立したハメットはコンティネンタル・オプやサム・スペイドなどの魅力的な人物を作り出した。『マルタの鷹』などの長編とともに、短編にも数多くの傑作を残している。