市政をあやつる黒幕、その力を利用しようとする上院議員、対立するボス。利権と愛欲のからみあう中に起こった殺人の謎を解こうとする賭博者ネド。男も女も老いも若きも、血を躍らせ愛好するハメットは、ネドの非情な言動を浮き彫りにして、行動派随一の秀作たらしめた。作者が自作中最も愛好するというハードボイルド・ファン必読の作品!
ダシール・ハメット
アメリカの作家。1894年生、1961年歿。種々雑多な職業を転々とし、最後にアメリカ随一の民間探偵ピンカートン社の私立探偵となった。このときの体験をもとにしたのが処女長編『血の収穫』である。これによってハードボイルド文学を確立したハメットはコンティネンタル・オプやサム・スペイドなどの魅力的な人物を作り出した。『マルタの鷹』などの長編とともに、短編にも数多くの傑作を残している。