懐かしくも怖ろしい恐怖を掻き立てる名著『怪談』
その真髄を再現し、読者の意表をつく戦慄を与える
令和の『新・怪談』、ここに誕生!
――東雅夫(アンソロジスト/文芸評論家)
会社員の森下は、単独登山中に滑落死した同僚・能見香織の慰霊のため、上司と先輩の三人で雪山に赴く。山荘の主人から、「この山には遭遇した人間に〈問いかけ〉をする雪女の伝説がある」と聞かされた翌日……(白い吐息 新釈「ゆきおんな」)。大勢の死者を出したツアーバスの事故から、奇跡的に生還した芳一。後遺症で視力を失うも、一躍脚光を浴びて……(午前零時の講演会 新釈「耳なし芳一」)。その他「ろくろ首」「水飴を買う女」「貉(むじな)(のっぺらぼう)」と、有名作をモチーフにした全五編を収録。小泉八雲の代表作『怪談』刊行から約百二十年、妖しくおぞましい世界が令和に蘇る!
「白い吐息――新釈「ゆきおんな」」
慰霊登山に向かった会社員たち。山荘で「この山には雪女の伝説がある」と聞かされた翌日……
「デラシネの頭骨――新釈「ろくろ首」」
不可解な殺人事件と二つの失踪事件を、刑事が追うが……
「マイ・ファミリー――新釈「水飴を買う女」」
仲が冷え切った夫婦。妻が夫に、「勤め先に水飴を買う女の幽霊が来る」と言い出し……
「午前零時の講演会――新釈「耳なし芳一」」
多くの死者を出したバス事故の生還者が、次々に事故死し……
「『贖罪(しょくざい)』という名の人形――新釈「貉(むじな)(のっぺらぼう)」
急逝した人形作家の追悼展に、夜な夜な幽霊が現れて……
雪富千晶紀
(ユキトミチアキ )1978年愛知県生まれ。日本大学生物資源科学部卒。2014年、『死呪の島』(後に『死と呪いの島で、僕らは』として改題文庫化)で、第21回日本ホラー小説大賞〈大賞〉を受賞しデビュー。同作は綾辻行人、貴志祐介、宮部みゆきの選考委員各氏から高く評価され、満場一致で受賞が決定した。他の著書に『黄泉がえりの町で、君と』『レスト・イン・ピース 6番目の殺人鬼』『ブルシャーク』『ALIVE 10人の漂流者』『ホワイトデス』がある。