友安小輪(ともやすさわ)は、怯えていた。彼女と恋人の住むアパートに、ある日突然謎の老人が現われ執拗ないやがらせを始めたのだ。弱々しい老人相手にもかかわらずなぜか恋人は萎縮し、警察に被害を訴えてもまともに取り合ってもらえない。
一方、都内の若夫婦が老爺に襲われ、夫が死亡し妻は襲撃者に略取され行方不明となる事件が起きる。幼い頃、姉を殺害されたことがきっかけで刑事となった佐坂湘(ささかしよう)は、くせ者ながら優秀さで知られる警視庁捜査一課の北野谷輝巳(きたのやてるみ)と組んで、消えた女性の行方を追うが……
『死刑にいたる病』『虜囚の犬』の俊英がストーカー犯罪を題材に描く衝撃作!
文庫版では『執着者』と改題しました。
櫛木理宇
(クシキリウ )1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞。同年、『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞する。著書に〈ホーンテッド・キャンパス〉シリーズ、〈依存症〉シリーズ、『死刑にいたる病』『虜囚の犬』『氷の致死量』『少年籠城』などがある。