「親しき仲にもスキャンダル」を信条とし、取材対象者へ独特の感性で切り込み数々のスクープを抜きまくってきた伝説の週刊誌記者が、女性宅への不法侵入と窃盗の容疑で逮捕された。窃盗容疑は否認するなか、取り調べ中に語った「友を待つ」という一言の真意とはなんなのか? その言葉の意味と目的を調べ始めた後輩記者たちは、十年前のある官僚との因縁に原因があることに気づく――。吉川英治文学新人賞受賞の『ミッドナイト・ジャーナル』に続く、傑作記者ミステリ。
本城雅人
(ホンジョウマサト )1965年神奈川県生まれ。明治学院大学卒。スポーツ新聞記者、競馬雑誌デスクを経て、2009年『ノーバディノウズ』でデビュー。翌年に同作で第1回サムライジャパン野球文学賞を受賞。17年に新聞記者たちの地道な取材をテーマとした『ミッドナイト・ジャーナル』で第38回吉川英治文学新人賞を受賞。18年に『傍流の記者』が第159回直木三十五賞の候補となる。主な著作は『球界消滅』『トリダシ』『にごりの月に誘われ』『二律背反』など。2023年末には文庫書き下ろし〈二係捜査シリーズ〉『宿罪』『逆転』『ゴースト』を3ヶ月連続刊行し話題となる。