世は平安、道長が栄華を極めている。紫式部は「源氏物語」の人気に少々困惑気味。そんななか、お使いで訪れたお屋敷に、瑠璃という謎の姫君が道長によってかくまわれていることを知る。式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめたが、しだいに現実と物語が重なりはじめ……。瑠璃姫はいったい何者なのか? 式部が大胆にも道長に仕掛けた、雅な意趣返しとは? 「源氏物語」をめぐる謎を解き明かす平安王朝推理絵巻第3弾! 著者あとがき=森谷明子
森谷明子
(モリヤアキコ )神奈川県生まれ。2003年、紫式部を探偵役にした王朝ミステリ『千年の黙(しじま) 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。卓越した人物描写とストーリーテリングで高い評価を受ける。著書に、『千年の黙』に続く〈王朝推理絵巻〉シリーズの『白の祝宴』『望月のあと』、図書館司書の経験を活かした〈秋葉図書館の四季〉シリーズの『れんげ野原のまんなかで』『花野に眠る』『星合う夜の失せもの探し』の他、『春や春』『七姫幻想』『深山に棲む声』『涼子点景1964』『葛野(かどの)盛衰記』『FOR RENT 空室あり』『晴明変生』などがある。