ムバンソウ

無伴奏

  【単行本版】

太田忠司


無伴奏

ジャンル
国内ミステリ > ハードボイルド

判型:四六判上製
ページ数:278ページ
初版:2011年7月29日

ISBN:978-4-488-02478-9
Cコード:C0093


装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。kk


内容紹介

そこに、父がいた。父は眠っていた。私の記憶にある父の顔ではなかった。痩せ細り、肌はかさついている。髪は乱雑に刈られ、髭もまばらに剃られていた。口をわずかに開き、寝息を立てていた。職業柄、見慣れている姿のはずだった。毎日同じような老人を何人も相手にし、世話をしているのだから。なのに今、私はひどく動揺していた──。父危篤の急報を受け、二十数年ぶりに実家に戻った阿南は、予想もしなかった両親の謎に直面することになる。十三年ぶりに描かれた阿南シリーズの新作にして、現時点における著者の最高傑作。


太田忠司

(オオタタダシ )

1959年愛知県生まれ。名古屋工業大学卒業。81年、「帰郷」が「星新一ショートショート・コンテスト」で優秀作に選ばれる。『僕の殺人』以下の〈殺人三部作〉などで新本格の旗手として活躍。2004年発表の『黄金蝶ひとり』で第21回うつのみやこども賞受賞。『刑事失格』に始まる〈阿南〉シリーズほか、〈狩野俊介〉〈探偵・藤森涼子〉〈ミステリなふたり〉〈名古屋駅西喫茶ユトリロ〉など多くのシリーズ作品を執筆。その他『奇談蒐集家』『怪異筆録者』『遺品博物館』『麻倉玲一は信頼できない語り手』『喪を明ける』など著作多数。