児童養護施設・七海学園に勤めて三年目の保育士・北沢春菜は、多忙な仕事に追われながらも、学園の日常に起きる不可思議な事件の解明に励んでいる。そんな慌ただしい日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる「不慮の事故」なのか? だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手掛かりが隠されていた。鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く、清新な本格ミステリ。
*第3位 Best Books of 2010/Amazon.co.jpエディターが選ぶ文芸TOP11(2010年12月8日)
*第5位『2011本格ミステリ・ベスト10』国内ランキング
*第9位『このミステリーがすごい!2011年版』国内編
七河迦南
(ナナカワカナン )東京都出身。早稲田大学卒業。2008年、『七つの海を照らす星』で第18回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。10年刊の『アルバトロスは羽ばたかない』は、第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になるなど高い評価を得る。他の著作に『空耳の森』『わたしの隣の王国』がある。