僕がホペイロ(roupeiroポルトガル語で用具係のこと)を務めるサッカークラブ・ビッグカイト相模原では、奇妙な出来事がわんさか。J2昇格を目指して新たなシーズンが始まったのに問題山積み。まったく傷んでいないのに新品のスパイクに交換したがるエース、窃盗容疑で逮捕されたナイジェリア人助っ人、名物サポーターの大フラッグ盗難事件……、その度に僕に謎を解かせようとする。選手のスパイクの手入れが本職なのに! 日本フットボールリーグ(JFL)所属のサッカークラブを舞台に、ホペイロの奮闘を描く、ほのぼの連作ミステリ。著者あとがき=井上尚登
「カンガルーの右足」
「ヤム芋ストライカー」
「迷惑フラッグ」
「忘れ物リング」
「盗まれポスター」
「行方不明ベア」
井上尚登
(イノウエナオト )1959年神奈川県生まれ。東海大学卒。99年『T.R.Y.』で第19回横溝正史賞を受賞しデビュー。サッカーをはじめとしたスポーツ通として知られている。