新天地を目指して家族とともに恒星間植民船に乗り込んだ少女ペトラ。眠っているあいだに目的地に到着するはずだったが、380年後に目覚めてみると船内で革命がおき、ペトラ以外の乗客は地球の記憶をすべて消去されてしまっていた。ただひとり、地球の記憶を持っているペトラは、故郷のおばあちゃんが語ってくれた昔話、そして人類の歴史の中で生み出されてきた膨大な物語を武器に、恐ろしい計画を実行しようとする大人たちに戦いを挑む。ニューベリー賞、プーラ・ベルプレ賞を受賞。物語の力で世界を変えようとする少女の姿を描く傑作。
ドナ・バーバ・ヒグエラ
カリフォルニア中部の農地と油田に囲まれた地域で育つ。子どものころから読書とお話作りが大好きで、フォークロアと自身の体験が混じりあって生まれたイマジネーションを源とした作品を書いている。デビュー作のLupe Wong Won't DanceはPNBA賞を受賞、プーラ・ベルプレ賞のオナーに選ばれた。2作目にあたる『最後の語り部』でニューベリー賞とプーラ・ベルプレ賞の同時受賞という快挙を成し遂げた。
杉田七重
(スギタナナエ )東京都生まれ。東京学芸大学卒。英米文学翻訳家。主な訳書にジェラルディン・マコックラン『世界のはての少年』、ドナ・バーバ・ヒグエラ『最後の語り部』、イヴリン・スカイ『ダムゼル 運命を拓きし者』、エドワード・ドルニック『ヒエログリフを解け――ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』がある。