新元号が発表された2019年4月。老舗映画会社・銀都活劇(ぎんとかつげき)のDVD宣伝チームで働く砂原江見(さはらえみ)は岐路に立っていた。長く務めた勤務先が、映像配信会社に買収されることが決まったのだ。江見の部署も部下たちも、この先どうなるかわからない。社名が消えるまでに、私たちはどんな仕事がしたいだろうか──自分の働き方を決めるのは自分だけ。すべての大人にエールをおくる傑作小説。解説=松井ゆかり
古内一絵
(フルウチカズエ )東京都生まれ。映画会社勤務ののち、『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。2017年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出され、第6回JBBY賞(文学作品部門)を受賞。他の著書に『鐘を鳴らす子供たち』、『最高のアフタヌーンティーの作り方』、『星影さやかに』、『山亭ミアキス』、『百年の子』、〈マカン・マラン〉シリーズ、〈キネマトグラフィカ〉シリーズ、NHKでテレビドラマ化された〈風の向こうへ駆け抜けろ〉シリーズなどがある。