詩人のサマンサは精神分析医のカウンセリングを受けつつ、〈いのちの電話〉の相談員をこなす身の上。ある日地区検事局に勤めるクレメンタイン一族の息子と出逢い、結婚することになるが……。繊細奔放な女性詩人が辿ってきた心の旅路。真正直でいて矛盾に満ちた現在の内面。ミステリの名手が書いていた瑞々しい感動の物語!
アンドリュー・クラヴァン/キース・ピータースン
アメリカの作家。1954年生。ニューヨーク生まれのピータースンは、〈ヴィレッジ・ヴォイス〉紙に常連寄稿する傍ら、小説を書きだした。弟と合作したマーガレット・トレイシー名義の『切り裂き魔の森』でMWA賞を受賞。再びMWA賞を得た『夏の稲妻』を含む記者ウェルズ物はハードボイルドの逸品として名高い。本名のクラヴァン名義では『真夜中の死線』が圧巻。読者を翻弄する才筆の持ち主だ。
芹澤恵
(セリザワメグミ )成蹊大学文学部卒業。英米文学翻訳家。訳書にウィングフィールド「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」、ピータースン「幻の終わり」「夏の稲妻」、クラヴァン「真夜中の死線」、ウィルソン「リリアンと燃える双子の終わらない夏」など。