七重の階層構造を持つヴァヴィロン(格差市)、幻影の都市アラパバード(憧憬市)、天上と地下に永遠に続いていくヴァーティシティ(垂直市)……36の断章から浮かび上がる、架空都市、幻想建築、虚像国家の創造と崩壊。イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』と同時期に構想され、アーシュラ・K・ル=グインが愛し自ら英訳を手がけた、ルーマニアが生んだ異才の傑作掌編集。訳者あとがき=住谷春也/解説=酉島伝法
ギョルゲ・ササルマン
1941年ルーマニア、ブカレスト生まれ。現ドイツ在住。65年にイオン・ミンク建築学校を卒業し、「スクンテイア」紙で建築・都市計画のコラムを受け持つ。多くの小説、戯曲、ノンフィクション、建築史関係の著作を発表し、2021年には長編 Alfabetul distopiilor(ディストピアのアルファベット)を刊行。既訳短編に「アルジャーノンの逃亡」がある。