「アンソロジイという言葉のもとになったギリシャ語の意味は「花々を集めたもの」。立ちどまるほどではないが、歩く途中ひょっと目にとまり、見とれる花、つまり、理屈ぬきで楽しんでいただけるような小品を選ぶよう心懸けた」(伊藤典夫)。名翻訳家が初めて単独編纂した伝説のアンソロジイを半世紀ぶりに初文庫化。〈SFマガジン〉〈奇想天外〉の掲載作を追加し、全32編とした。
*は本文庫版で追加収録したもの。
「びんの中の恋人」ロン・ウェッブ
「死線」リチャード・マシスン
「レミングとの対話」ジェイムズ・サーバー
「お墓の引越し」レイ・ブラッドベリ
*「橋は別にして」ロバート・L・フィッシュ
*「指あと」リチャード・マシスン
「一ドル九十八セント」アーサー・ポージス
「受話器のむこう側」ウォルター・S・テヴィス
*「たとえ赤い人殺しが」ロバート・シェクリー
「魔法の窓」ロバート・F・ヤング
「白絹(しらぎぬ)のドレス」リチャード・マシスン
「バーニイ」ウィル・スタントン
「地下室のなか」デイヴィッド・H・ケラー
*「ひとりぼっちの三時間」マン・ルービン
*「思考の檻(おり)」ジョン・ブラナー
「選択」W・ヒルトン・ヤング
「頂上の男」R・ブレットナー
「わが心のジュリー」リチャード・マシスン
「ジュリエット」クロード・F・シェニス
「くたばりぞこない」アルフレッド・ベスター
「旅行かばん」アラン・E・ナース
「地球のワイン」マーガレット・セント・クレア
「子どもたちの庭」フリッツ・ライバー
「恋人たちの夜」ジョン・コリア
「コールガールは花ざかり」リチャード・マシスン
「吸血鬼は夜恋をする」ウィリアム・テン
「不滅の家系」マイクル・シャーラ
*「良き隣人」エドガー・パングボーン
*「プロセス」A・E・ヴァン・ヴォークト
*「岩山の城」ピージー・ワイアル
*「デイ・ミリオン」フレデリック・ポール
「ふるさと遠く」ウォルター・S・テヴィス
ロバート・F・ヤング
1915年、アメリカ生まれ。1953年、〈スタートリング・ストーリーズ〉誌でデビュー。邦訳された短編集に『ジョナサンと宇宙クジラ』『ピーナツバター作戦』『たんぽぽ娘』(すべて日本オリジナル編集)、長編に『時が新しかったころ』『宰相の二番目の娘』がある。1986年歿。
リチャード・マシスン
1926年アメリカ、ニュージャージー州生まれ。作家、脚本家。長編短編とも多数の作品を発表し、『奇蹟の輝き』『ある日どこかで』「激突!」『地獄の家』(映画タイトル『ヘルハウス』)など映画化された作品も多い。また『ミステリー・ゾーン』『事件記者コルチャック』などTVシリーズの脚本も数多く手がけている。2013年没。
伊藤典夫
(イトウノリオ )1942年、静岡県浜松市生まれ。英米文学翻訳家。主な訳書にクラーク『2001年宇宙の旅』、オールディス『地球の長い午後』、ブラッドベリ『華氏451度』、カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』、ディレイニー『ノヴァ』ほか多数。