ある夜、会社からの帰途にあった吉田大輔氏は、一瞬のうちに19329人に増殖した――第7回創元SF短編賞受賞作「吉田同名」に始まる、まったく新しい小説世界。文字通り“半分”になった家に住む人々と、それを奇妙な情熱で観察する群衆をめぐる表題作など四編を収める。突飛なアイデアと語りの魔術で魅惑的な物語を紡ぎ出し、喝采をもって迎えられた著者の記念すべき第一作品集。解説=飛浩隆
「吉田同名」
「半分世界」
「白黒ダービー小史」
「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」
石川宗生
(イシカワムネオ )1984年千葉県生まれ。オハイオ・ウェスリアン大学卒。2016年「吉田同名」が第7回創元SF短編賞を受賞、翌年には第48回星雲賞の参考候補作に選出される。18年「白黒ダービー小史」が第49回星雲賞の参考候補作に、同年刊行された『半分世界』が第39回日本SF大賞最終候補作に選出される。20年『ホテル・アルカディア』が第30回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。