軌道上ならではの予想を超える事件の連続に驚きつつ、生命科学ラボでの研究や無重力スポーツなどを通じて友人もでき、充実した大学生活を送るジェニーだが、一族が出馬する大統領選が近づき身辺が慌ただしくなる。一方、フロンテラにとって致命的なケスラーデブリ問題の陰で、母星安全保障省は不可解な動きをみせる。そして、閉鎖環境のはずのフロンテラになぜか侵入していた地球外生命体――その驚くべき正体とは……。22世紀の宇宙コロニーを舞台に、科学と社会の未来、そして未知との遭遇を、困難を乗り越えていく少女の目を通して瑞々しく描く。
金子浩
(カネコヒロシ )1958年生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。訳書にロビンスン『2312 太陽系動乱』、スミス『帰還兵の戦場』『天空の標的』、バチガルピ『ねじまき少女』(田中一江と共訳)他多数。