誰でも思うがままに自分の体を改造できる近未来、月面の宗教的コミューンで殺人事件が発生した。犯人はビデオにはっきり映っていた。だがこの町では、全員が同じ顔、姿形で暮らしているのだ。犯人は誰? 女性刑事バッハが難事件に挑む表題作はじめ、同じく彼女が自走式核爆弾となったサイボーグと対決する「バガテル」など傑作9編を収録。
ジョン・ヴァーリイ
1947年テキサス州オースティン生まれ。74年に短編「ピクニック・オン・ニアサイド」で作家デビューし、たちまち高い評価と人気を獲得した。これまでにヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞のトリプルクラウン2作、ヒューゴー賞とローカス賞のダブルクラウン1作、ほかにローカス賞7作(うち短編集部門4作)という受賞歴を持つ(日本の星雲賞も2回受賞)、70-80年代を代表するアメリカSF作家の一人である。長編に『へびつかい座ホットライン』(1977)、『スチール・ビーチ』(1992)など。