第1回ヒューゴー賞受賞作『分解された男』やオールタイム・ベストSFとして名高い『虎よ、虎よ!』など、実験的かつ先鋭的なスタイルで知られるアメリカSFの鬼才は、短篇に於いてもその実力を存分に発揮している。衝撃的傑作「ごきげん目盛り」、初期の代表中篇「地獄は永遠に」など、単行本『願い星、叶い星』所収の8篇に新訳2篇を増補のうえ改題した。日本オリジナル編集。訳者あとがき=中村融
「ごきげん目盛り」
「ジェットコースター」
「願い星、叶い星」
「イヴのいないアダム」
「選り好みなし」
「昔を今になすよしもがな」
「時と三番街と」
「地獄は永遠に」
「旅の日記」
「くたばりぞこない」
アルフレッド・ベスター
1913年、アメリカ、ニューヨーク生まれ。幼少期からSFに親しみ、メトロポリタン・オペラ劇場宣伝部在籍時に初めて書いた作品をスタンダード・マガジン社に送ったことが縁で、39年に同社の雑誌〈スリリング・ワンダー〉の新人賞第一席に入選。パルプ作家としてSFを中心に執筆生活に入る。その後一時SF界を離れ、コミックス、ラジオ業界を経て、TVのシナリオライターとして順調にキャリアを重ねた。50年代に入り、ふたたび短篇SFをたてつづけに発表、53年、『分解された男』で第1回ヒューゴー賞を受賞した。その後ジャーナリストとして活躍したのち、70年代に入って〈F&SF〉〈アナログ〉にふたたび作品を寄せはじめる。87年没。他の作品に『虎よ、虎よ!』『コンピュータ・コネクション』『ゴーレム100』などがある。
中村融
(ナカムラトオル )1960年生まれ。中央大学法学部卒、英米文学翻訳家。編著に「影が行く」「時の娘」「星、はるか遠く」、主な訳書にウェルズ「宇宙戦争」、ウィンダム「トリフィド時代」、ブラッドベリ「万華鏡」「何かが道をやってくる」ほか多数。