隕石との衝突事故で宇宙船が破壊され、宇宙空間へ放り出された飛行士たち。時間がたつにつれ仲間たちとの無線交信はひとつまたひとつと途切れゆく――永遠の名作「万華鏡」をはじめ、子供部屋がリアルなアフリカと化す「草原」、年に一度岬の灯台へ深海から訪れる巨大生物と青年との出会いを描いた「霧笛」など、“SFの叙情派詩人”ブラッドベリが自ら選んだ傑作26編を収録。序文=ギルバート・ハイエット/訳者あとがき=中村融
「アンリ・マチスのポーカー・チップの目」
「草原」
「歓迎と別離」
「メランコリイの妙薬」
「鉢の底の果物」
「イラ」
「小ねずみ夫婦」
「小さな暗殺者」
「国歌演奏短距離走者」
「すると岩が叫んだ」
「見えない少年」
「夜の邂逅」
「狐と森」
「骨」
「たんぽぽのお酒」
「イルミネーション」
「たんぽぽのお酒」
「彫像」
「夢見るための緑のお酒」
「万華鏡」
「日と影」
「刺青の男」
「霧笛」
「こびと」
「熱にうかされて」
「すばらしき白服」
「やさしく雨ぞ降りしきる」
レイ・ブラッドベリ
1920年、アメリカのイリノイ州に生まれ、34年にカリフォルニア州へ移住。少年時代からSFを耽読し、41年にヘンリー・ハースとの共作「振子(ふりこ)」で商業誌デビュー。その後、独特の流麗な文体により“SFの叙情詩人”と呼ばれるまでになる。代表作に『何かが道をやってくる』『火星年代記』『華氏451度』『10月はたそがれの国』など。また56年にはジョン・ヒューストン監督映画『白鯨』の脚本を担当した。2004年、アメリカの芸術家にとって最大の栄誉であるナショナル・メダル・オブ・アーツを受賞。12年没。
中村融
(ナカムラトオル )1960年生まれ。中央大学法学部卒、英米文学翻訳家。編著に「影が行く」「時の娘」「星、はるか遠く」、主な訳書にウェルズ「宇宙戦争」、ウィンダム「トリフィド時代」、ブラッドベリ「万華鏡」「何かが道をやってくる」ほか多数。