夜空をサーチライトが切り裂き、花火が〈ヨシワラ〉の文字を刻みつける。林立する高層建築の屋上では飛行機が発着を繰り返し、地下都市から現れた労働者の群れが〈バベルの塔〉に吸い込まれてゆく。ここは巨大な機械都市メトロポリス。君臨する支配者を憎んだ天才科学者が、あるとき一体のロボットを完成させ、そして都市の崩壊がはじまった……。神話的な不朽の名作映画の原作。訳者あとがき=前川道介
テア・フォン・ハルボウ
1888年バイエルン王国生まれ。映画脚本家、作家。映画監督フリッツ・ラングにシナリオを多数提供し、1922年から33年まではラングと婚姻関係にあった。『メトロポリス』はラングの代表作となった映画であり、脚本をハルボウとラングが共同で執筆した。1954年没。