医学生のバスチアンは、騎士や魔女になりきり14世紀の暮らしを疑似体験するゲームに参加するため、深い森に到着した。そこでは懐中電灯や消毒薬などゲームの時代になかった物の持ち込みが禁止されている。だが参加者が次々に謎の失踪を遂げ、主催者の携帯電話も紛失し外部と通信不能に。さらに閉じこめられた洞(ほら)で大量の白骨死体を発見。想定外の出来事が彼らの心を蝕(むしば)んでいく。訳者あとがき=酒寄進一
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家。1958年生まれ。和光大学教授。主な訳書――2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位のシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ノイハウス〈刑事オリヴァー&ピア・シリーズ〉、ホフマン『牡猫ムルの人生観』。