ベルリン・ミステリ賞受賞作シリーズ
1931年のその日、ベルリン警視庁殺人課警部のラートを呼び出した副警視総監の機嫌は最悪だった。ニューヨーク・ギャングの殺し屋と目されている危険人物ゴールドスティンがベルリンに来訪しているというのだ。その目的は一切不明。犯罪組織リングフェラインが、彼に殺しを依頼したのだろうか? だれもが疑心暗鬼になる中、ラートはこの男の二十四時間の監視を命じられるが……。
フォルカー・クッチャー
1962年ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州のリンドラール生まれ。ヴッパータール大学とケルン大学でドイツ文学、哲学、歴史学を専攻。新聞編集者として活動したあと、作家活動を開始。1995年、Bullenmord(クリスチャン・シュナルケとの合作)でデビュー。2007年にゲレオン・ラート・シリーズ第一弾の『濡れた魚』を発表。同シリーズでベルリン・ミステリ賞を受賞する。
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書として、2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれたシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス『友情よここで終われ』、ザルテン『バンビ――森に生きる』などがある。