心優しい筆致がうれしいミステリ界の人気者が、人生の哀歓をさりげなく謳った軽妙多彩な短編傑作集。セーラさえ知らないマックスの本業の実態を描く爆笑編「帰り途」、マッドな科学者によるタイムマシン発明譚「時間誘拐」、哀しくも美しい不義の恋「パタレイ夫人の恋人」など、いつでもどこでも楽しめる17の物語を収録した。
シャーロット・マクラウド/アリサ・クレイグ
作家。1922年カナダに生まれ、51年アメリカに帰化した。ボストンの広告代理店に勤める傍ら、64年から小説を書きだす。78年に刊行した〈シャンディ教授〉シリーズの第一作『にぎやかな眠り』で人気を獲得。以後その奔放な感覚を生かして次々に作品を発表し、ユーモア・ミステリの女王と呼ばれるに至った。『納骨堂の奥に』に始まる〈セーラ・ケリング〉もののほか、アリサ・クレイグ名義でも多数の作品を執筆、そのにぎやかかつ優しい筆致で多くの読者を楽しませた。98年、アガサ賞生涯功労賞を受賞。2005年没。
浅羽莢子
(アサバサヤコ )1953年生まれ。英米文学翻訳家。東京大学文学部卒。主な訳書にセイヤーズ『学寮祭の夜』、チャーチル『ゴミと罰』、マクラウド『納骨堂の奥に』、キャロル『死者の書』、ピーク『ゴーメンガースト』など多数。2006年歿。