ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジ。その学寮付き保健師(カレツジ・ナース)イモージェン・クワイの家に下宿する学生が、著名な数学者の伝記を執筆することになった。これまでなぜか伝記の原稿の執筆は途切れてきたのだが、どうやらその原因は、数学者の経歴でどうしても詳細が不明な、ある夏の数日間にありそうで……。『ウィンダム図書館の奇妙な事件』に続く、好評シリーズ第二弾! 解説=古山裕樹
ジル・ペイトン・ウォルシュ
1937年、ロンドンに生まれる。オックスフォード大学卒業。教員生活を経て『焼けあとの雑草』など
の児童小説や、ブッカー賞の候補になったKnowledge of Angelsに代表される歴史小説を多数発表し、作家としての確固たる地位を築く。93年からは『ウィンダム図書館の奇妙な事件』にはじまる〈イモージェン・クワイ〉シリーズを4作発表。2作目の『ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎』でCWAゴールドダガー賞候補に。さらに98年にドロシー・L・セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズの公式続編Thrones, Dominationsを刊行。以降シリーズを全4作発表し、好評を博した。2020年没。
猪俣美江子
(イノマタミエコ )慶應義塾大学文学部卒。英米文学翻訳家。ウォルシュ『ウィンダム図書館の奇妙な事件』、アリンガム《キャンピオン氏の事件簿》、セイヤーズ『大忙しの蜜月旅行』、ピーターズ『雪と毒杯』、ブランド『薔薇の輪』など訳書多数。