事件は科学者スタンガルソン教授と令嬢が住む城の離れの一室で起きた。内側から施錠された完全な密室《黄色い部屋》で令嬢マティルドが襲われ、血の海に倒れていたのだ。襲撃者はどこに消えたのか? そして再び起きた怪事件。謎に挑むのは18歳の新聞記者ルルタビーユとパリ警視庁警部ラルサンの二人。密室ミステリ必読書中の必読書にジャン・コクトーの序文を付した新訳決定版。訳者あとがき=平岡敦/解説=戸川安宣
ガストン・ルルー
1868年、パリ生まれ。法律を学び、弁護士資格を取得した後、日刊紙《エコー・ド・パリ》に記事を寄せるようになり、その後、劇評や裁判記録を多く執筆。《ル・マタン》紙の特派員などもつとめた。代表作である『黄色い部屋の謎』は、1907年に《イリュストラシオン》紙の文芸付録に連載したもので、1908年に刊行され、現在も密室ミステリの古典として不動の地位を保っている。『黄色い部屋の謎』で活躍する青年新聞記者ルルタビーユのシリーズのほかに、映画化、舞台化されている『オペラ座の怪人』の著者としても知られている。1927年没。
平岡敦
(ヒラオカアツシ )1955年生まれ。早稲田大学文学部卒業。中央大学大学院修了。現在中央大学講師。主な訳書に、カダレ『誰がドルンチナを連れ戻したか』、グランジェ『クリムゾン・リバー』、ビュッシ『恐るべき太陽』、ジャプリゾ『シンデレラの罠』、カサック『殺人交叉点』他多数。