寂れた島で過ごした夏、記憶の中で鮮やかさを増す夏、限りなく続く仮想の夏――
夏を舞台とする四編に、青春のきらめきと痛みを封じこめた、第十二回創元SF短編賞受賞作を表題とするデビュー作品集。解説=飛 浩隆
「射手座の香る夏」
「十五までは神のうち」
「さよなら、スチールヘッド」
「影たちのいたところ」
松樹凛
(マツキリン )1990年生まれ。慶應義塾大学推理小説同好会出身。2020年〈飛ぶ教室〉第51回作品募集に佳作入選、21年に第8回日経「星新一賞」優秀賞を、同年「射手座の香る夏」で第12回創元SF短編賞を受賞。