青年ピアニスト、アルトゥアは死んでから50年後の世界に蘇ってしまう。さらにひょんなことから知り合った音大生ベックに誘われ、幽霊以上に浮世離れしている学生たちと共同生活を送ることになった。突然の新しい人生には、なぜおかしな出来事ばかり起こるのか。幽体離脱ができるようになったり、不気味な“怪人”が現れたり、おまけに殺人事件まで発生するなんて……。不可解な事件をめぐり、青年ピアニストと音大生たちが走る走る! “謎”が奏でる秘密と再会の物語。訳者あとがき=酒寄進一
文庫版では『幽霊ピアニスト事件』と改題しました。
フレドゥン・キアンプール
1973年、ペルシャ人とドイツ人の両親のあいだに生まれる。ハノーファー音楽大学でピアノを学んだのちソロ活動に入り、ベルリン・フィルハーモニーのホールや、2000年のハノーファー万国博覧会ドイツ共和国館などで演奏している。趣味はタイ式ボクシング。01年から08年までカナダの企業で経営コンサルタントとして働き、そのかたわら本書を執筆・上梓する。現在は本書の朗読とピアノ演奏を組み合わせたイベントを精力的に行っている。ドイツ、フランクフルト在住。
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。主な訳書に、コルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ「デーミアン」、フォン・シーラッハ「犯罪」「神」、ノイハウス「深い疵」、カシュニッツ「その昔、N市では」、ラーベ「17の鍵」などがある。