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対談 桜庭一樹・道尾秀介
第60回日本推理作家協会賞・第7回本格ミステリ大賞
「道尾さんの作品は、似たもののない、まったく新しい小説」(桜庭)
「桜庭さんは、すごく度胸のある方だな、と思います」(道尾)
(〈ミステリーズ!vol.23〉より)

桜庭一樹・道尾秀介
左・桜庭一樹、右・道尾秀介。2007年5月16日、東京創元社にて。

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 ――5月11日に道尾さんが『シャドウ』で本格ミステリ大賞を、14日に桜庭さんが『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞を、相次いで受賞されました。今回が初めてのお顔合わせです。
 まずは、受賞おめでとうございます。

道尾・桜庭 ありがとうございます。

 ――受賞の報を聞いたときはどう思われましたか?

道尾 本格ミステリ大賞って、受賞作の傾向がわりとわかりやすいじゃないですか。投票者ごとになんとなく想像がつくというか。僕は今回は石持浅海さんの『顔のない敵』だと思っていたんですが、蓋を開けたら『シャドウ』が1位だったのは意外でした。
 僕は投票を控えましたが、そもそも「読みたいものを自分で書く」という自給自足的な気持ちで小説を書いているので、自分ならもちろん『シャドウ』に投票したと思います(笑)。ただ、賞の傾向とはずれているだろうなという感覚はありました。

 ――ほかの候補作のほうが、もっとご自身の考える“本格ミステリ”に近かったということでしょうか。

道尾 今回はロジカルな作風のものが多かったので、そうした面で『シャドウ』は弱いのではないかと思ったんです。自作が候補になるとしたら『骸(むくろ)の爪』だろうと周囲から言われていたので、その点でも意外でしたし。でも『骸の爪』では次点だった『邪魅(じゃみ)の雫(しずく)』に及ばなかったと思います。投票者ごとのコメントはまだ読んでいませんが、『シャドウ』のストーリー性なども買っていただけたのかなと思っています。

 ――桜庭さんはいかがでしょう? 『赤朽葉家の伝説』は編集者から「初期の代表作を」と求められて書かれた作品だったわけですが。

桜庭 ほかの候補作では、森谷明子さんの『七姫幻想』を読んでいて、すごく好みの作品だったので、一緒に名前が並んでいるのは嬉しいような、微妙な感じでした。『七姫幻想』が受賞していても素直に喜んでいたと思います。

 ――受賞が決まったとき、率直にどんなご気分でしたか?

桜庭 「小説として面白いものを書こう」と心がけていて、自分なりに手ごたえもあったんですが、ミステリとして読まれたときに、どう評価されるのかが全然わからなかったので、推理小説の賞をいただけたのはとてもうれしかったです。
 あと、候補作になったとき担当さんが「今回は絶対取れないから気楽にいきましょう。無理むり」とか言ってたのを本気にしてたら、受賞したあと「僕は絶対取れると思ってました」って(笑)。



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