画家としての道を歩み始めたローズの前にまたしても事件が
コーンウォール・ミステリ第3弾!


ジェイニー・ボライソー
『クリスマスに死体がふたつ』

 クリスマスを目前にしたコーンウォール。海沿いのプロムナードには美しいイルミネーションが灯され、街はクリスマスの買い物をする人でにぎわっている。
 イギリスの他の地方に比べると格段に温暖とはいえ、この季節になるとやはりコートが必要だ。

 前巻『しっかりものの老女の死』で、自らの絵の才能を再発見したローズは、いまは廃鉱となっている土地にぽつんと建つ、崩れかけた石造りのエンジンハウスを写生していた。
そこにいきなり響く女の悲鳴。ローズはすぐに警察に電話をしたが、捜索の結果はなにもなし。皆には白い目でみられるし、元恋人のジャック・ピアース警部からまでいやみを言われる始末。
 だが、再度調査をしたピアース警部が、何十年か前に死んだとおぼしき女性の死体を発見するにいたって、様相は一変する。ローズが最近聞いた悲鳴と、何十年も前の死体の関係は? さらに、ローズが最近つきあいはじめた画家ニック・パスコウのかつての恋人が失踪し、事態はややこしいことに……

 四年前に病気で死んだ最愛の夫デイヴィッドのかわりには誰もなれないが、そろそろローズも悲しみの衣を脱ぎ捨てて、新しい幸せをつかんでもいい頃だ。
それを気づかせてくれたのが『容疑者たちの事情』の事件で出会ったジャック・ピアース警部。
 ふたりの関係は長続きせず終わってしまったが、少なくとも友情は続いている。ローズが持ち前の好奇心から事件に首を突っ込むたびに、やきもきするのがせいぜいなのだが……。

 今回は油絵を通してローズが新たに友人になった、セント・アイヴスの芸術家たちが事件に巻き込まれる。それどころかローズ自身までもが容疑者のひとりになってしまうのだ。


 事件の謎に加えて、ローズの画家としての未来は? 新たな恋の行方は? と今回も盛りだくさん。
 事件とは関係ありませんが、ローズがクリスマスプレゼントとして母親に贈る、コーンウォールの特産品の詰め合わせが今回は必見。豚挽肉のプディング、クロッテッドクリーム、パースティ、ファッジ、サフランケーキ、ジンジャーフェアリングス、ヘヴィケーキ。食べてみたくなりませんか?

(2006年5月8日)