恋に悩み、新しい出会いに胸躍らせるローズの未来は?
好評、コーンウォール・ミステリ第2弾


ジェイニー・ボライソー
『しっかりものの老女の死』

 イギリスの西の端、アガサ・クリスティも愛したコーンウォールの地を舞台に展開するミステリ・シリーズ第2弾。

 主人公ローズは画家兼写真家の40代の女性。夫に先立たれて以来、夫の故郷のコーンウォールでひとり暮らしています。幸い写真の仕事も順調で、友人関係にも恵まれ、夫の死という深い傷を心にかかえながらも、なんとか気ままな暮らしになれてきたところ。

しっかりものの老女の死

 1作目『容疑者たちの事情』で、写真家としての仕事先の屋敷で殺人事件に巻き込まれたローズは、もちまえの好奇心と鋭い観察力を発揮し、事件を解決に導いてしまいます。そして事件へのめりこむことで、夫の死以来ずっと抱え込んでいた深い悲しみをやっと手放し、次なる恋へ第一歩を踏み出してゆくのです。

 この2作目『しっかりものの老女の死』では、ローズはさらに自分の画家としての新たな未来を模索し始めます。夫の死で自分の殻に閉じこもっていた彼女が、ひとりの女性として、そして芸術家として目覚め花開いてゆく過程にも是非ご注目ください。

 もう孫がいるというのに信じられないくらい若々しく、かわいらしい親友ローラ、ずっとローズに片思いをしていて、事件のたびに彼女の身を案じてやきもきさせられる気の毒なバリー、前回の事件の担当刑事でローズの恋人となったジャック・ピアース警部(でも先行き不安)、そして前回の事件で被害者の家の家政婦をしていた、そして今やすっかりローズの友人になったドリーン、とローズを取り巻く人々は今回も健在です。

 さらに今回はセント・アイヴス在住の芸術家たちとの出会いも加わり、ローズの世界がさらに広がってゆくことを予感させます。


 ローズと仲のよかった、しっかりものの老女ドロシーが死に、警察はそれを自殺と判断。でも友人だったローズには、どうしても納得いかない。ドロシーが自殺などするはずがない!

 老女の相続人は二人の息子。上の息子は結婚してあまり母親のもとへは寄りつかないうえ、嫁は義母をきらっているくせに、財産は狙っているらしい。弟のほうは気が弱すぎて働くこともできず、母親べったりですぐ近くに住んでいる。

 さらに、ドロシーに求婚していた幼なじみの農夫や、なにやら秘密を抱えいそうな食料雑貨店を営む友人、さらには怪しげな骨董商まであらわれて、今回も容疑者には事欠かない。

 しかもドロシーは、かなり高価な絵画や骨董をいくつも所有していた。ローズは、よりによってその高価な絵の1枚が、精巧な写真とすり替えられていることを発見してしまう。

 またも事件に首を突っ込む一方、画家としての自分自身の芸術と生き方を模索し始めるローズ。恋人ジャック・ピアース警部との関係に悩み、芸術家たちとの新しい出会いに胸躍らせる彼女の未来やいかに。

 今後のローズの恋と芸術に、乞うご期待!

(2005年3月10日)

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