本邦初訳作をふくむ傑作10編
エドモンド・ハミルトン『反対進化』
(中村融・市田泉訳)

 〈キャプテン・フューチャー〉シリーズや〈スター・キング〉二部作などで、スペース・オペラの雄として知られるエドモンド・ハミルトンは、同時に奇想SF短編の名手でもあります。「フェッセンデンの宇宙」(河出書房新社〈奇想コレクション〉同題短編集収録)などで、その魅力は知られるところです。

反対進化  創元SF文庫では初めてのハミルトン短編集『反対進化』では、本邦初訳作3編をふくむ傑作10編を精選し、全作品を新訳でお贈りします。

 カナダ奥地で発見されたゼリー状の奇妙な生命との遭遇を描いた表題作をはじめ、人里離れた山地に落下した幾何学状の隕石が秘めた真実「呪われた銀河」、〈キャプテン・フューチャー〉と同じ宇宙を舞台にした冒険譚「失われた火星の秘宝」、未来が現実となったときのSF作家の哀愁「プロ」など。

 なお、同じハミルトン短編集の幻想怪奇編『眠れる人の島』もお楽しみに。


収録作品一覧
  • 「アンタレスの星のもとに」(書籍初収録)
  • 「呪われた銀河」(青心社『星々の轟き』1982 収録)
  • 「ウリオスの復讐」(書籍初収録)
  • 「反対進化」(ハヤカワSFシリーズ『フェッセンデンの宇宙』1972 収録)
  • 「失われた火星の秘宝」(本邦初訳)
  • 「審判の日」(本邦初訳)
  • 「超ウラン元素」(本邦初訳)
  • 「異境の大地」(青心社『星々の轟き』1982 収録)
  • 「審判のあとで」(書籍初収録)
  • 「プロ」(青心社『星々の轟き』1982 、新潮文庫『スペースマン』1985 収録)

著者紹介 エドモンド・ハミルトン(Edmond Hamilton)

 1904年、オハイオ州生まれ。父親は漫画家、母親は元教師。秀才の誉れ高く10歳で高校へ入学し14歳で卒業。15歳でウエストミンスター・カレッジに入学し物理学を専攻したが、文学にかぶれて大学を中退。鉄道職員となり、愛読していたA・メリットやエドガー・ライス・バローズの影響を受けた小説を書きはじめる。1926年、〈ウィアード・テールズ〉誌より「マルムスの邪神」でデビュー。恒星系や銀河をたびたび危機に陥れることから“世界破壊者(ワールド・レッカー)”の異名をとる。代表作は〈スター・キング〉2部作、スペースオペラの古典とされる〈キャプテン・フューチャー〉〈スターウルフ〉シリーズや、本格SF『虚空の遺産』『時果つるところ』などがある。1977年逝去。夫人は、やはり著名なSF作家のリイ・ブラケット。

(2005年2月18日/2005年12月5日)