2008年度の鮎川哲也賞・ミステリーズ!新人賞
贈呈式ひらかる

 2008年10月10日、飯田橋のホテル メトロポリタン エドモンド〈悠久の間〉にて、〈第18回鮎川哲也賞〉および〈第5回ミステリーズ!新人賞〉の贈呈式が開かれました。当日は、多数の皆さまにご来席いただきました。

2008年度贈呈式の模様1 鮎川哲也賞は七河迦南氏『七つの海を照らす星』が受賞しました。また、ミステリーズ!新人賞は梓崎優(応募時の筆名・梓崎多綾を改名)氏「砂漠を走る船の道」が受賞、市井豊氏「聴き屋の芸術学部祭」が佳作入選しました。

〈第18回鮎川哲也賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して山田正紀先生が述べられました。

「最終選考には4本の作品が残り、討議を重ねた。受賞作となった『七つの海を照らす星』は日常の謎を扱ったミステリ。児童相談所を舞台にした、現代を照らす設定の作品で、いわば切実な善意の小説であった。登場人物が善人である必然性がきちんとあり、文章力も抜群。最終的には全員一致での受賞となった」

 受賞者の七河迦南氏は事情によりやむをえず欠席されましたので、ご友人が代理として登壇され、小社社長・長谷川晋一より賞状が授与されました。さらに選考委員の笠井潔先生により、正賞のコナン・ドイル像が手渡されました。

 ご友人が代読した手紙の中で、七河迦南氏は「本格ミステリを愛し創作を志してきた者のひとりとして、受賞をこの上ない栄誉に感じています」と、受賞の喜びと今後の抱負を語られました。

 続いて、〈第5回ミステリーズ!新人賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して綾辻行人先生が述べられました。

「今回で選考委員を務めるのは最後になるが、ラッキーにも最後にとびきりの傑作と出会えた。選考会がこれほど盛り上がったのは初めてのことだった。とにかく、選考委員一同いままで見たことのない本格ミステリで、自分の手柄のように、この場で内容を全部しゃべってしまいたいくらいだ。本格ミステリの前途も捨てたものではない、と思うことができた」

 受賞者の梓崎優氏が登壇され、小社社長・長谷川晋一より賞状が授与されました。さらに選考委員の辻真先先生より、正賞の懐中時計が手渡され、〈第4回ミステリーズ!新人賞〉の受賞者である沢村浩輔先生より花束が贈呈されました。また、〈浜松ミステリー愛好会〉からの記念の花束が、谷島屋書店メイワン店・寺田結美さんより贈呈されました。

 受賞の挨拶で、梓崎優氏は「まだ受賞が現実のこととは信じられず、ふわふわした気分だ。さらに作品を書きつづけて、一冊の本として世に出せて初めて、小説家としての第一歩を踏み出したことになると思うので、これから精進していきたい」と決意も新たに語られました。

2008年度贈呈式の模様3 乾杯の辞として、著書『幻想と怪奇の時代』が第61回日本推理作家協会賞を受賞した紀田順一郎先生よりお言葉をいただき、その後大いに歓談が盛り上がりました。

  鮎川哲也賞受賞作、七河迦南『七つの海を照らす星』は好評発売中、ミステリーズ!新人賞受賞作、梓崎優「砂漠を走る船の道」および佳作入選作、市井豊「聴き屋の芸術学部祭」が掲載されている『ミステリーズ!』vol.31も好評発売中です。同賞および鮎川哲也賞の選評も載っておりますので、ご参照ください。
 次回〈第20回鮎川哲也賞〉は平成21年10月末日〆切、〈第6回ミステリーズ!新人賞〉は、平成21年3月末日〆切となります。皆さまのご応募をお待ちしております。
 鮎川哲也賞の応募要項はこちらを、ミステリーズ!新人賞の応募要項はこちらをご覧ください。
(2008年11月5日)

●前年の鮎川哲也賞・ミステリーズ!新人賞レポートを読む
●翌年の鮎川哲也賞・ミステリーズ!新人賞レポートを読む