2005年度のミステリーズ!新人賞贈呈式ひらかる

 2005年10月7日、飯田橋のホテル メトロポリタン エドモンド〈悠久の間〉にて、〈第15回鮎川哲也賞〉および〈第2回ミステリーズ!新人賞〉の贈呈式が開かれました。当日は、340名におよぶ多数の皆さまにご来席いただきました。

 鮎川哲也賞は既報どおり、残念ながら受賞作なし、篠宮裕介氏『六月の雪』が佳作となりました。ミステリーズ!新人賞は高井忍氏(鷹井信之より改名)「漂流巌流島」が受賞いたしました。

2005年度ミステリーズ!新人賞の模様1 〈第15回鮎川哲也賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して山田正紀先生が述べられました。 「(佳作となった)『六月の雪』は、粋でスマートな文章がテンポよく進む作品だった。大いに感心したが、本格ミステリではないので鮎川賞にはふさわしくないと思った。しかし、捨てるには惜しいできのため佳作とした。この佳作は、水準に至らないからではなく、禁じ手を使ってでも残したいということである。願わくば、十年後には、当時の作家では量りきれなかったのだ、選考委員が至らなかったのだと思わせるような作家になって欲しい」

 続いて、〈第2回ミステリーズ!新人賞〉の選考経過と選評を、同じく選考委員を代表して綾辻行人先生が述べられました。 「今年の最終候補作六編は、どれも去年以上のできだった。まだまだ、ミステリ・ブームは終わりではない。これだけの人数が応募してくれることに感動を覚えた。受賞作は一筋縄ではいかない作品で、どう話が転ぶのかまったくわからなかった。ちょっと見たことのない作品で、これしかないだろうとスムーズに受賞が決定した。本当に面白く立派な作品なので、今後の活躍に期待したい」

 受賞者の高井忍氏が登壇され、小社社長・長谷川晋一より賞状が授与されました。さらに高井氏には加納朋子先生より、正賞の懐中時計が手渡され、〈第10回創元推理短編賞〉の受賞者である獅子宮敏彦先生より花束が贈呈されました。また、〈浜松ミステリー愛好会〉からの記念の花束が、谷島屋書店メイワン店・寺田結美さんより贈呈されました。

2005年度ミステリーズ!新人賞の模様2  受賞の挨拶に立たれた高井忍氏は「四年前、〈第8回創元推理短編賞〉の最終候補に残ったとき、いつかは壇上に行ってやると誓い、それから四年目にしてようやく誓いをはたすことができた。選んで下さった選考委員の方々と(第2回新人賞に応募した)ライバルたちに対して、恥ずかしくないような作品を書いていきたい」と、受賞の喜びとこれからの抱負を語られました。
 最後に、乾杯の辞として、小社刊『剣と薔薇の夏』が第58回日本推理作家協会賞を受賞した戸松淳矩先生よりお言葉をいただき、その後大いに歓談が盛り上がりました。

2005年度ミステリーズ!新人賞の模様3  ミステリーズ!新人賞受賞作、高井忍「漂流巌流島」は『ミステリーズ!』vol.13に掲載されています。同賞および鮎川哲也賞の選評も載っておりますので、ご参照下さい。
 次回〈第17回鮎川哲也賞〉は平成18年10月末日〆切、〈第3回ミステリーズ!新人賞〉は、平成18年3月末日〆切となります。皆さまのご応募をお待ちしております。
 鮎川哲也賞の応募要項はこちらを、ミステリーズ!新人賞の応募要項はこちらをご覧ください。
(2005年11月7日)

●前年の鮎川哲也賞レポートを読む
●翌年の鮎川哲也賞・ミステリーズ!新人賞レポートを読む