2004年度の鮎川哲也賞贈呈式ひらかる

2005年度より〈ミステリーズ!短編賞〉は
〈ミステリーズ!新人賞〉と名称を変更いたしました
 2004年10月22日午後6時半より、飯田橋のホテル メトロポリタン エドモンド〈悠久の間〉にて、〈第14回鮎川哲也賞〉〈第1回ミステリーズ!短編賞〉の贈呈式が開かれました。350名におよぶ多数の皆さまにご来席いただきました。

 鮎川哲也賞は、神津慶次朗氏『鬼に捧げる夜想曲』(応募時の『月夜が丘』を改題)、岸田るり子氏『密室の鎮魂歌(レクイエム)』(応募時の『屍の足りない密室』を改題)と、史上初の2作同時受賞となりました。なお、神津氏は受賞時19歳であり、鮎川哲也賞最年少受賞者となります。なお、〈第1回ミステリーズ!短編賞〉は当サイトでの既報のとおり、残念ながら受賞作なしでした。

2004年度鮎川哲也賞の模様1 〈第14回鮎川哲也賞〉の選考経過について、選考委員を代表して島田荘司先生よりお言葉を頂きました。「成熟した女性の作家と、初々しい青年作家を輩出したことを慶びたい。『密室の鎮魂歌』は、中心になる謎は他に類例がないもので、推理のプロセスも女性同士のやりとりによって明かされるという新しい方法が持ち込まれている。『鬼に捧げる夜想曲』はパワフルでたいへん面白かったが、それだけではなく、推理小説に対してさまざまな問題提起を含んでいる。このまま、来年、再来年と活躍をつづければ、新本格にすごい才能が現れたといえるようになるだろう。二人の近い将来を期待して見守りたい」と述べられました。

 つづいて神津慶次朗氏が登壇され、小社社長・長谷川晋一より表彰状が授与されました。そして神津氏に、山田正紀先生より正賞としてコナン・ドイル像が手渡され、先年度受賞者である森谷明子先生より花束の贈呈が行われました。また〈浜松ミステリー愛好会〉からの記念の花束が、谷島屋書店メイワン店・寺田結美氏より贈呈されました。さらに岸田るり子も登壇され、小社社長より表彰状が、笠井潔先生よりコナン・ドイル像が手渡され、森谷先生より花束が、〈浜松ミステリー愛好会〉からの記念の花束が、谷島屋書店メイワン店・伊藤久美子氏より贈呈されました。

2004年度鮎川哲也賞の模様2  壇上の神津慶次朗氏より挨拶がありました。「何を言ったらよいかわからないが、20年間生きてきた中でいちばん、何かをつかんだという実感がある」
 ついで岸田るり子氏は、「2年前の応募作が最終候補に残って以来、国内外の作品を読んで勉強した。書いている間は楽しく、この作品が受賞して嬉しく思う」とコメントされました。  〈第1回ミステリーズ!短編賞〉は、受賞作なしとなりました。選考委員を代表して、有栖川有栖先生よりお言葉を頂きました。「残念ながら該当作がなく、見送りとなった。受賞作を出したくは思っても、出せないときには本当に出せないもので、読者には申し訳なく思いながらも、このような結果となった。第2回に改めて期待したい」
 乾杯の辞として、今年生誕100周年を迎えた江戸川乱歩先生のお孫さんに当たられる、平井憲太郎氏より乾杯の辞を頂き、大いに歓談が盛り上がりました。

2004年度鮎川哲也賞の模様3  受賞作の、神津慶次朗『鬼に捧げる夜想曲』および岸田るり子『密室の鎮魂歌(レクイエム)』は、10月下旬に小社より単行本にて刊行されています。なお今回の選評は、現在発売中の『ミステリーズ! vol.07』に掲載されていますので、ぜひご覧ください。
 次回〈第16回鮎川哲也賞〉は平成17年10月末日締切、〈第2回ミステリーズ!短編賞〉は平成17年3月末締切となります。皆さまのご応募をお待ちしています。
 鮎川哲也賞の応募要項はこちらを、また、ミステリーズ!新人賞の応募要項はこちらをご覧ください。
(2004年11月1日)

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●翌年のミステリーズ!新人賞レポートを読む