柿埼の提案したゲームは子どもたちの心を捉え、学校生活に欠かせないレクリエーションとして順調に機能しているように見えた。ゲームに消極的だった百音も、親友の香住(かすみ)に励まされ、クラスメイトたちとの距離を縮めて徐々に自分の世界を広げてゆく。だが、平穏な日常の裏側では、ある計画が深く、静かに、そして着実に進行していた──圧倒的な筆力で描ききった渾身の傑作長編。解説=瀧井朝世
十市社
(トオチノヤシロ )1978年、愛知県生まれ。中京大学卒。2013年2月、Amazonが提供する電子書籍出版支援サービスKDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)から、『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』(上下)を発売。同書を改稿のうえ、〈ミステリ・フロンティア〉より紙の書籍として刊行し本格的にデビューする。他の著作に『滑らかな虹』(上下)『亜シンメトリー』がある。