田舎町に住む小学六年生の拓人は幼い頃に神隠しに遭い、その間の記憶を失っている。そんな彼の前に、弓月小夜子と名乗る年上の少女が現れた。以前、拓人の母と三人で暮らしたことがあるというが、拓人は思いだせない。母の入院のため夏休みを小夜子(サヤ)と過ごすことになるものの、彼女は自分について話さず……。《彩雲国物語》の著者が贈る、少年時代のきらめきと切なさに満ちた傑作。解説=三村美衣
雪乃紗衣
(ユキノサイ )2002年、『彩雲国綺譚』で第1回ビーンズ小説賞の読者賞と奨励賞を受賞。翌年に同作を改題・改稿した『彩雲国物語 はじまりの風は紅く』でデビュー。同シリーズはアニメ化され、累計650万部を超える大ヒットとなる。他の著書に《レアリア》シリーズ、『エンド オブ スカイ』がある。