神戸に住む高校生かりんの祖母の遺品に、大切にしていたらしいドイツ語の本があった。19世紀末の寄宿学校を舞台にした少女たちの物語に出てくるのは、赤ずきん伝説の残るドレスデン郊外の森、幽霊狼の噂、校内に隠された予言書。そこには物語と現実を結ぶ奇妙な糸が……。『ぬばたまおろち、しらたまおろち』の著者がグリム童話をもとに描く神戸とドイツの不思議な絆の物語。著者あとがき=白鷺あおい
白鷺あおい
(シラサギアオイ )岡山県出身。筑波大学第2学群比較文化学類卒業。2016年、第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞。著書に『ぬばたまおろち、しらたまおろち』『人魚と十六夜(いざよい)の魔法』『蛇苺(へびいちご)の魔女がやってきた』『シトロン坂を登ったら』『月蝕の夜の子守歌』『セーラー衿(カラー)に瑠璃紺(るりこん)の風』がある。