SFやホラーを愛読する黒人兵士アティカス・ターナーは、謎の白人と共に姿を消した父を追って、出版社を営む伯父と、賭博師と霊媒師を父母に持つ幼馴染を伴い、謎に包まれた町アーダムに向かう。そこで彼らは魔術師ブレイスホワイトが創設した秘密結社のディナーに招待されるが──。合衆国誕生から朝鮮戦争まで二百年に亘るアメリカの闇の歴史と魔術的闘争を描いた破格の傑作長編。解説=古山裕樹
マット・ラフ
1965年、アメリカ、ニューヨーク市生まれ。5歳で作家を目指す決意を固める。長編ファンタジーFool on the Hillで1988年にデビュー。2003年発表のSet This House in Orderでジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞(現・アザーワイズ賞)、太平洋岸北西部書店協会賞、ワシントン州図書賞を受賞。また、『ラヴクラフト・カントリー』は世界幻想文学大賞の候補となり、HBOでTVシリーズ化され話題を呼んだ。他の著作に『バッド・モンキーズ』、The Mirageなどがある。
茂木健
(モギタケシ )1959年生まれ、翻訳家。訳書にウィルスン《時間封鎖》三部作、ティドハー『完璧な夏の日』、ウォルトン『図書室の魔法』《ファージング》三部作ほか多数。著書に『バラッドの世界』『フィドルの本』。