人々の怨(うら)みから生じた闇神(くらがみ)は、流(なが)れ神(がみ)を斬ることができるふた振りの刀をもたらした。一方は北条政子(ほうじようまさこ)の弟時房(ときふさ)の手に渡り、遠谷(おちだに)から奪われたもう一方は二目将軍頼家(よりいえ)の側近高坂景秀(こうさかかげひで)の手に。折しも幕府は、頼朝(よりとも)亡きあと頼家と北条氏の確執が露(あら)わになっていた。刀と友を追って鎌倉にのぼった真人(まひと)は、権力闘争に巻き込まれていくが……。人と精霊と神の関わりを描く時代ファンタジイ。
真園めぐみ
(マソノメグミ )岐阜県出身。立命館大学文学部日本史専攻卒業。2015年、第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞。著作に『玉妖綺譚』『玉妖綺譚2異界の庭』『玉妖綺譚3 透樹の園』、「ナチュラル・カラーズ」(『小説魔法使いの嫁銀糸篇』所収)がある。