中世史学者のジャックは大学時代の友人から、久々に連絡を受けた。屋敷の図書室の蔵書目録の改訂を任せたいというのだ。稀覯本(きこうぼん)に目がないジャックは喜んで引き受けるが、屋敷に到着した彼を迎えたのは、やつれはてた友人だった。そこで見せられた友人の亡き妻の手記には、騎士の幽霊を見た体験が書かれていた……。表題作を始め四編を収録。クラシックな香り高い英国怪奇幻想譚。訳者あとがき=山田順子
「図書室の怪」
「六月二十四日」
「グリーンマン」
「ゴルゴタの丘」
マイケル・ドズワース・クック
英国の作家、在野の研究者。エクセター大学で修士号を、ブリストル大学で博士号を取得。エドガー・アラン・ポオの作品を始めとする、ミステリや怪奇小説を研究しており、これまでに、関連の学術書を二冊上梓している。『図書室の怪』は初めてのフィクション。
山田順子
(ヤマダジュンコ )1948年福岡県生まれ。立教大学社会学部社会学科卒業。主な訳書に、アーモンド『肩胛骨は翼のなごり』、キング『スタンド・バイ・ミー』、クリスティ『ミス・マープル最初の事件』、リグズ『ハヤブサが守る家』、プルマン『マハラジャのルビー』など。