本の魔道師ケルシュが町で拾った少年は、狐に似た獣を連れていた──「ジャッカル」、生命の魔道師が向き合うことになった過去の亡霊とは──「ただ一滴の鮮緑」など5編を収録。自らのうちに闇を抱え、ときに迫害を受け、人々の欲望の澱(おり)を引き受けながら、賞賛を浴びることもない、そんな市井(しせい)に生きる魔道師たちの姿を描いた短編集。巻末に、コンスル帝国の神々の系図を付す。
「セリアス」
「運命女神(リトン)の指」
「ジャッカル」
「ただ一滴の鮮緑」
「神々の宴」
乾石智子
(イヌイシトモコ )山形県生まれ。山形大学卒業。山形県在住。1999年教育総研ファンタジー大賞受賞。スターウルフで目を覚まし、コナン・ザ・バーバリアンから最初の一歩を助けてもらった。著作に『夜の写本師』『魔道師の月』『太陽の石』『オーリエラントの魔道師たち』『紐結びの魔道師』『沈黙の書』『イスランの白琥珀(こはく)』『久遠の島』『闇の虹水晶』『滅びの鐘』などがある。