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クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間的に大きく成長、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。解説=戸川安宣
「鏡の映像」
「ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失踪」
「盗まれた胃袋」
「完全アリバイ」
「銅の指を持つ男の悲惨な話」
「幽霊に憑かれた巡査」
「不和の種、小さな村のメロドラマ」
ドロシー・L・セイヤーズ
イギリスの作家。1893年オックスフォードに生まれる。オックスフォード大学を卒業後、広告代理店でコピーライターの仕事をしながら、1923年デビュー作にして貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿もの第一長編となる『誰の死体?』を発表。そのモダンなセンスにおいて紛れもなく黄金時代を代表する作家であり、名作『ナイン・テイラーズ』を含む味わい豊かな作品群は、今なお後進に多大な影響を与え、ミステリの女王としてクリスティと並び称されている。ほかの代表作に『五匹の赤い鰊』『学寮祭の夜』など。57年没。