殺人を犯して妻とともにアメリカじゅうを逃げ回る脱獄囚、赤毛の男。そして二人の逮捕を命じられたNY第19管区の刑事。この追う者と追われる者の息づまる攻防は、そのまま複雑なアメリカ社会に苦悶する人間の縮図である。一見単純な構成の中に秘められた最終ページの恐るべき感動! 独創的なプロットが光る名手の真骨頂。
ビル・S・バリンジャー
1912年アメリカ、アイオワ州生まれの作家・脚本家。優れたストーリーテラーとして“サスペンスの魔術師”の異名を持つ。著作に、返金保証のシステムを用いた斬新なサスペンス小説として名高い代表作『歯と爪』(1955)のほか、『煙で描いた肖像画』(1950)、『消された時間』(1957)、『赤毛の男の妻』(1957)などがある。1980年没。