1924年、ニューヨーク。警察署でタイピストとして働くローズの前に、新人タイピストのオダリーが現れる。美しい黒髪を断髪(ボブ)にし、流行の高級な服に身を包んだ彼女は自由奔放な雰囲気の女性で、酔っ払いを上手にあしらって警官たちを感心させた。彼女と親しくなったことでローズの人生は一変し、豪奢(ごうしや)なホテルの一室で同居をはじめる。だがオダリーに秘密があるとわかってきて……。訳者あとがき=吉澤康子/解説=大矢博子
(単行本『もうひとりのタイピスト』改題・文庫化)
スーザン・リンデル
アメリカ、カリフォルニア州生まれの作家。2006年にテキサスの大学院に入学。2010年にスーツケースひとつでニューヨークへ行き、著作権を扱うエージェンシーで働きながらデビュー作である本書を書き上げる。現在はヒューストンのライス大学英文学博士課程でアメリカ近代文学を学びつつ、短編小説や詩を発表している。
吉澤康子
(ヨシザワヤスコ )津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。英米文学翻訳家。エリザベス・ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』『ローズ・アンダーファイア』、ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』など訳書多数。