探偵の才ある文学青年コリン・レヴェルは、母校の校長から、学内で発生した怪死事件の調査をしてもらえまいか、という手紙を受け取った。三か月前、寄宿舎で寝ていた生徒が重いガス灯用具の落下をまともに受けて即死した。陪審員は“事故死”の評決を下したが、その生徒の奇妙な遺言状が発見されるに至って事件は新たな様相を帯び……。本書は世界的文豪ジェームズ・ヒルトンが書き下ろした唯一の長編推理小説。ミルン『赤い館の秘密』やモーム『秘密諜報部員』と並ぶ、『チップス先生さようなら』や『鎧なき騎士』の著者による、異色の本格ミステリ作品である。ヴィンセント・スターレットは「類型を脱した、第一級の傑作」と絶賛した。