何をどうやってみても誰にも存在を認めてもらえない存在感のない哀れな男、死をこよなく愛し、葬儀があると聞けばどこへでも飛んでいく謎の女、指紋理論に固執するあまり、自らがその指紋を根拠に逮捕されてしまう男……〈ロコス亭〉に集まる奇人たちは、物語と物語の間を、そしてその内と外を自在に行き来し、読者を虚構と現実のはざまに誘う。知的で独創的! ラテン・アメリカ文学の原型ともいうべきとてつもなく面白い小説集。訳者あとがき=青木純子/解説=風間賢二
青木純子
(アオキジュンコ )1954年東京生まれ。早稲田大学大学院博士課程満期退学。訳書に、K・モートン『忘れられた花園』、M・パヴィチ『風の裏側』、L・ノーフォーク『ジョン・ランプリエールの辞書』、B・S・ジョンソン『老人ホーム』、G・アデア『閉じた本』、A・クルミー『ミスター・ミー』、K・アトキンソン『世界が終わるわけではなく』、M・レヴィツカ『おっぱいとトラクター』他。