「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったんです。中でもマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いてぎゅって抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その「許せない人」は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──
錯乱状態に陥った少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で突然、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様に出会ったことで、想像を絶する奈落へと突き落とされる──
『ほねがらみ』『異端の祝祭』がSNSで話題を攫ったホラー界の新星が描く、美しい異常。
芦花公園
(ロカコウエン )東京都生まれ。Web小説サイト「カクヨム」で公開していた「ほねがらみ─某所怪談レポート─」が注目を集める。同作が編集者の目に留まり、2021年4月『ほねがらみ』で書籍デビュー。同年5月に刊行された『異端の祝祭』も話題を呼ぶ。他の著書に『漆黒の慕情』『とらすの子』『聖者の落角』『パライソのどん底』『食べると死ぬ花』『極楽に至る忌門』がある。