浅草川に浮かぶ島、日本橋は箱崎。汐と水が入りまじり、色々なモノが流れ集まり三つに分かれるところ。この川辺にある若狭屋には、ちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。狐憑きと呼ばれる花魁や川に消えた子供、息子を捜す山姥……。あの世とこの世をつなぐ不思議な船宿で女将が出会う、八つの愛おしいあやかし話。
「狐憑き」
「おっかなの晩」
「海へ」
「夏の夜咄」
「鰐口とどんぐり」
「嫉妬」
「江戸の夢」
「三途の川」
折口真喜子
(オリグチマキコ )鹿児島県生まれ。2009年、「梅と鶯」で第三回小説宝石新人賞を受賞。2012年、受賞作を収めた『踊る猫』でデビュー。軽やかであたたかみのある人物描写が魅力の新鋭。他の著書に『恋する狐』がある。現在は熊本県在住。