判型:四六判並製
ページ数:318ページ
初版:2022年12月16日
ISBN:978-4-488-01684-5
Cコード:C0097
装画:藤井紗和
装幀:中村聡
大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。
アリアンナ・ファリネッリ
1975年ローマ生まれ。ニューヨーク在住。2001年にアメリカに移住。政治学で博士号を取得。現在はニューヨーク市立大学バルーク校で教鞭を執る。本書はデビュー作。
関口英子
(セキグチエイコ )イタリア文学翻訳家。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。訳書に『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(第一回須賀敦子翻訳賞受賞)、F・M・サルデッリ『失われた手稿譜 ヴィヴァルディをめぐる物語』(栗原俊秀と共訳)他。
森敦子
(モリアツコ )イタリア語翻訳家。東京外国語大学イタリア語専攻卒業。P・バッカラリオ/F・タッディア『だれが歴史を書いてるの? 歴史をめぐる15の疑問』他。